ポリスチレン (polystyrene) は、スチレンを重合して作られる合成樹脂です。
スチロール樹脂とも呼ばれています。
ポリスチレン(PS)を発泡させると、あの「発泡スチロール」になります。
🟡 安価で身近なプラスチックで、
コーヒーカップのフタ、ボールペン、ヨーグルト容器など、生活用品によく使われています。
ポリスチレンは、大きく分けて次の2種類があります:
汎用ポリスチレン(GPPS)… 透明
耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)… 白っぽい・強い
General Purpose Polystyrene
✅ 透明クリア性がある
✅ 軽量で成形しやすい
✅ 着色が自由で寸法安定性も良好
✅ 耐薬品性(酸・アルカリ・塩類)に優れる
✅ 発泡させやすく、断熱性もある
⚠️ 耐熱性はあまり良くない(連続使用温度:60~80℃)
⚠️ 衝撃に弱く、硬いがもろい
⚠️ 油・有機溶媒に弱く、軟化・溶解する
👉 改良方法として「重合度を高める」「ガラス繊維を充填する」などがあります。
包装材(PSの用途の約半分)
透明カップ、食品用ふた
ボールペンの軸
使い捨て食器、包装フィルムなど
High Impact Polystyrene
GPPSにゴムを配合して衝撃強度を高めたものです。
いわゆる「ポリマーアロイ(高分子複合材料)」の一種です。
✅ GPPSの約5~10倍の衝撃強度
✅ 割れにくく、低温にも強い
✅ 加工性が良く、熱変形にも比較的強い
⚠️ 透明性はなくなり乳白色になる
⚠️ 一部物性(剛性など)はGPPSより低下
コーヒーカップのフタ
プラコップ
ヨーグルト・ヤクルトなどの乳酸菌飲料容器
その他食品パッケージなど
ポリスチレン(PS)を発泡させてできるのが「発泡スチロール」です。
軽くて断熱性が高い
緩衝性に優れ、梱包材として最適
食品トレー、保冷容器、建築用断熱材などに使われています
🧬 ポリマーアロイ:複数の高分子ポリマーを混ぜて改質したもの。
例:m-PPE(変性PPO)は、PPEとPSのポリマーアロイ。
🔥 熱可塑性樹脂:加熱するとやわらかく、冷えると固まる性質。
🧫 溶融粘度が低い=成形時の加工性が良い。
弊社では、PS素材は一部用途を除き、積極的な取り扱いは行っておりません。
A-PETやPP、PEなどの他素材を中心に取り扱っております。
PSに関するご相談は、内容に応じて個別対応とさせていただいております。
単量体:スチレン(C₈H₈)
重合方式:ラジカル重合(連鎖反応)
構造:アモルファス(非晶性)樹脂
→ 分子がランダムに並ぶため透明性が高い。
→ 結晶構造を持たず、比較的加工しやすい。
性質 | 値(参考) |
---|---|
密度 | 約1.05 g/cm³ |
耐熱温度 | 約80℃ |
引張強度 | 約40 MPa |
曲げ弾性率 | 約3 GPa |
ガラス転移点 | 約100℃ |
性質 | 値(参考) |
---|---|
密度 | 約1.04 g/cm³ |
耐熱温度 | 約80℃ |
衝撃強度 | GPPSの5〜10倍 |
色 | 乳白色(不透明) |
PSは再生利用もしやすく、選別・粉砕・再押出などでリサイクルされます。
ただし、光・酸素・熱で劣化しやすいため、屋外用途や長期使用には不向き。